「書籍タイトル」のキーワードとしくみ
― 一般ビジネスにも応用できるキーワードの選定 ―
IT書籍の作成工程はなかなか面白い。
特に「書籍タイトル決定」と「カバー作成」は実は最終工程で行われる。
一般的なIT書籍の作成工程としては、「企画決定」→「著者執筆」→「編集構成」→「組版(ページレイアウト)」→「著者校正」という流れであり、本来「書籍タイトル」というのは「企画決定」段階で決めてもよさそうだが、実は本を印刷する「最終段階」で決定されることがほとんどだ。
これは、主に営業的側面が理由である。
「本のタイトル」はIT書の場合、内容を示す事柄であることはもちろん、やはり読者に対して訴求力のある名称である必要がある。
また時事もキーワードを選定する上で影響するファクターだ。
このようなことを考慮したうえでタイトル決定はなされるのだが、IT書籍のさらに面白いポイントは、タイトルを決めるのは「著者」ではなく、「出版社」ということだ。
しかも、この一見逆に思えるタイトル決定場所が、実は効果的であることが多い。
成功事例を示そう。
たとえば、現在もコンスタントに売れている書籍に
「Windowsでできる小さな会社のLAN構築・運用ガイド」
があるが、当初の暫定タイトルは
「事務所におけるネットワーク構築と運用」
というものだった。
※タイトルの変更
「事務所におけるネットワーク構築と運用」
↓ ↓ ↓
「Windowsでできる小さな会社のLAN構築・運用ガイド」
まず、「事務所」という言葉を「小さな会社」にしたことは大きい。これは、印象はもちろん、「小さな会社」というキーワードを採用することで読者対象を明確にしている。
ネットワーク系の本は、現状は「サーバー管理者向けの難しい本」か「Internet Explorerの操作を教える初心者本」というトップとローエンドという二極化した状態である。
つまり、実はど真ん中のネットワーク構築である「3~10台規模のネットワーク構築を語った本」は少なく(家庭内、10~20人規模の会社、あるいは大きな会社の支店レベルで参考になる本)、しかも仮にあったとしても見つけづらい状況にある。
このような状況で、本の読者層を広くとりたければ、単に「ネットワーク構築」というタイトルを冠せばよいのだが、あえて「小さな会社」と限定することで、ターゲティングを明確にして訴求力をましているのだ。
また、「ネットワーク」という言葉を、あえて「LAN」としたことも大きい。
これは言葉の響きもそうなのだが、もし書店に行くことがあれば数あるネットワーク書籍の中で、「Windowsでできる小さな会社のLAN構築・運用ガイド」が並んでいるところを眺めてみればわかる。
かなり長ったらしいタイトルであるにもかかわらず、背表紙は「LAN」の文字が明確にプリントされており、これはデザイン的配慮が行いやすいキーワードでもあるのだ。









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